【騙された】台湾で困っていそうな青年が居たので、お金を渡したらいろいろ学ぶことがありました

台湾留学

「ちょっと足りないかな」

!???!??

彼の言葉に僕は耳を疑った。

ショボい小銭入れに、200元も渡して、いきなり「ちょっと足りない」だと?

ニコニコしていると、思っていた彼の顔は、まだもらえるとイヤラシくニヤニヤしているようにしか見えなくなった。

 

しかし、僕も変なプライドがあった。

良かろう、ならば1,400円分やろうじゃないかと。僕をなめるなよ?

もうひとつかみ彼の手の上に載せた。

日本でやってたバイトの時給と同じだけの額である。貧乏じゃなくたって台湾人にはなかなかの額だろう。なんなら僕にとってもいい値段である。

 

彼は「わ~ありがとう」、と心底嬉しそうに言うと、「頑張ってね」と手を振ってきた。

 

去りながら僕は「ああ、君も頑張りナ」と挨拶した。

なるほどなあ、こういうのもまあ気分が悪いものではない。

 

少し「善い人」に近づけた気がして、僕は歩きながら考えた。

足りないと言われたときにムカついたり、礼を言われることを求めている時点で、まだ未熟なんだろうと。

本当の立派な人、慈善の気持ちを持つ人は、ただ与えるのだろうなと。


 

はい、それでですね、そのまま地下道をさらに歩いてたんですよ。

 

そしたら、背の高い青年が僕と目が合うなり

「すみません、実は学費を集めていて……」といいながら、さっき見たような小銭入れを差し出してきました……。

 

なるほど、さっきの青年と同じようなセリフを語っていやがるじゃあないですか。

やっぱりこの日はツイてなかったみたいです。

 

「あ~~そうかい、金なら君の”オトモダチ”にいっぱい渡しといたぜ、たかるなら別の人で頑張りナ」

そう言い捨てて、僕はさっさとメトロの改札に向かいました。

そして、ICカードカードをタッチしてから、改札が開くよりも早く、僕の中の善人は一瞬で死にました。

 

う~ん、やっぱ他人なんて助けるもんじゃねえな!

 

なんつーか、僕が善人になるには、あと2000年はかかりそうです。