なんかあ、家の倉庫漁ってたら、上のタイトル画像にもあるように、こんな絵が出てきたんですワ。
なんだろう?どういう絵?
誰の作品か調べてみようにも……
まず署名が読めない。サインあるある。
前から思っていましたけど、有名人のサインって、書いてる途中に発作でも起きたんか?っていうデザイン多くないですか?
こんなかんじのやつ。
そんなわけで、この絵の作者がわからない。有名なのか無名なのかさえわかりません。
裏を見ても特に何もありません。
右下の丸いのはキャンバス生地本体のステッカーです。
そう、こいつはキャンバス地なんです。
きったねー!
これには作者も涙を禁じえません。
改めて全体を眺めてみると、なかなか味のある絵です。
モノクロの中に水色のアクセントがいいですよね。
モチーフはなんでしょうね。
僕は高層ビルかな?と思いました。
ほら、なんか霧というか雲で霞んでいるみたいな……。
でもそれはあくまでこの絵を自分が見たいように見ているだけであって、真実はわかりません。
でも僕はもう高層ビルにしか見えません。
見たいものを見てしまう
はい、タイトル回収です。
我々は、様々な現象において、関連づけをして納得させようとする習性があります。
そして、その関連づけは、自分の見たいものを見るように出来ています。
前に書いたお守りの話でもしたのですが……
例えば、なにか良いことに遭遇したとき、
お守りを持っている人は「お守りのおかげだろう」と思うかもしれません。
しかし、お守りを持っていない人はお守りのおかげと思うわけがありません。
お守りを買った人は、お守りに効果があるという結果を見たいので(信じたいので)、
お守りを買ったという行為と、良いことが起こったという現象を、特に根拠はなくても、結びつけようとしてしまいます。
日々使われる言葉でも、この「見たいものを見ようとする」
つまり、都合のいいように改変されてる言葉はたくさんあります。
酒飲みは「酒は百薬の長」とよく言います。
ただし、あの言葉の続きには「されど万病のもと」と続きます。
「天才とは、1%のひらめきと99%の努力である」
この言葉の真意はひらめきがなければ努力も無駄になるという意味です。
「健全なる精神は健全なる身体に宿る」
これも、本来は「健全なる身体には、健全な精神があるべきだよね」というお話だったのです。
それが、ナチス・ドイツにより「健全な身体があれば、精神も健全になる」と曲解され、軍国主義をすすめるために利用されました。
さて、この見たいものを見るに関連して、興味深い話があります。
それがルサンチマンのお話。
神は死んだで有名なニーチェの理論です。
簡単に書いてみます。
簡単!ルサンチマン論の話
人間には強者と弱者がいます。
そして、弱者はなにをやっても弱者です。
この世では努力すれば誰でも強者になれますが、弱者はそんな努力はしません。
そんなんだから、弱者はずっと弱者のままです。
そんな弱者ですが、努力をしなくても、強者に対抗したい!と思いました。
結果、弱者はとんでもねえ理論を作り出しました。
それが
「弱者は強者よりも偉いよ!」という理論です。
どうしたらそうなるん?
それは、弱者は質素な暮らしをしており、強者が求める地位や名誉も欲さない善人だから……。
という理屈から来ています。
弱者は仕方なく追い込まれたはずの自分の生活状況を、理想であり善であるとして自己肯定をしたんですね。
そして、「強者は弱者の上に立ち、強欲に地位を欲するから悪なんだ!!」と
この自分たちが善だという”都合の良い道徳”に弱者はドップリと浸かります。
弱者はこの道徳を信じ込み、強者になる努力を全くしなくなります。
彼らの道徳の中では強者は悪だからです。目指す必要がないのです。
この道徳を取り入れることで、自己肯定感を保っているため、弱者達はこの道徳から抜け出すことは出来ず、永遠に強者に支配され続けるのです。
……と、こんな話です。
人間あるあるだと思いませんか?
自分にとって都合の良いものばかりを見てしまう、言い換えれば、見たいものばかりを見ようとしてしまう……。
同じ人生でも、良いことに目を向けようと思えば、良いことばかりに感じるし、嫌なことに目を向けようと思えば、嫌なことばかりに感じてしまうのではないでしょうか。
また、俺はやれば出来るという言葉はよく聞きますが、本当でしょうか?
70%の確立で失敗、30%の確立で成功であるにもかかわらず、
成功する30%しか見えていないので、本人だけが100%成功すると思いこんでいるだけかも知れません。
そんなわけで、日常では良いことに目を向けるようにし、無意識な部分に関しては、自分は何を見ようとする傾向があるのか知っておくと良いでしょう。
そして、そんな無意識な傾向を知りたいとき、抽象画は自分の見ようとするものは何かを教えてくれるんじゃないかなと思います。
この絵、僕は高層ビルに見えて仕方がありません。
つまり、僕は高層ビルが欲しいということです。
おわり